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TICAD IV でウーヤヒア前首相が来日

第6回 アフリカ開発会議(TICAD IV)が5月27日から29日まで横浜みなとみらい地区のホテルにて開催された。
当初はブーテフリカ大統領の来日が予定されていたが急遽来日が中止され代わりにウーヤヒア大統領特使(前首相)一行が来日された。
この機会に日本―アルジェリア経済委員会の日本側企業の代表との懇談会が日揮(株)の横浜本社にて開催された。

会議は重久委員長(日揮会長)の司会のもと、伊藤忠商事の小林社長の質疑をまじえ1時間を越えるものであり、その後の懇親会でも経済問題を中心に活発な意見交換がなされ両国の関係強化に役立つ有意義な催しとなった。
また席上、重久委員長から、アルジェリア側委員長がソナトッラク総裁からForum des Chefs D’Entreprises(FCE)のハミアニ会長に移管されること、次回(第6回)合同委員会が11月末にアルジェにて開催される予定との報告があった。



本会議のアルジェリア側の出席者は

A. Ouyahia 大統領特使
A. Messahel マグレブアフリカ担当副大臣
H. Riache 国務大臣補佐官
S. Chergui 外務省アフリカ局長
S. Ketrandji 駐日アルジェリア大使
A. Cheriaf 駐日公使

ウーヤヒア特使の講話は経済を中心に広範囲に渡るものでアルジェリア政府の施策や現状を明確な言葉で説明され感銘深いものであった。

ウーヤヒア大統領特使の講話

TICAD IVは本日成功裏に終了したが、ブーテフリカ大統領は残念ながら国内の事情で参加することができなかった。しかし7月のG8サミットには福田総理大臣の温かい招待もあり参加する予定である。

確かに両国は地理的には遠いが長い道のりをともに歩んできた。国民解放戦線(FLN)の活動は日本の皆さんの大きな支持を得た。これはアルジェリアにとって記憶に残る支持であった。両国の政治関係も非常に良好であり、日本企業はアルジェリアの最初の経済発展期にともに進んでくれた。特に1960年代はじめに日本企業は常にアルジェリアに協力し、声に耳を傾けてくれたことをアルジェリアは忘れることはない。少し前にアルジェリアは困難な時期を迎えた。財政的にも混乱し、IMFの構造調整プログラムを受け入れなければならなかった。治安面でも国の悲劇を体験したがそうした時期は終焉を迎えた。

ブーテフリカ大統領の力強いリーダーシップの下、国は再建されつつある。アルジェリアは再建を果たし、われわれの友人である多くの日本企業がすでにアルジェリアに進出し、累計で120億ドルに達する投資を行っている。新たな投資に関する協議も進んでおり、良い方向に向かっている。アルジェリアは経済の再建過程で、様々な日本企業が大きな役割を果たすことを疑わない。日本アルジェリア合同経済委員会がアルジェリアで開催されることは歓迎すべきことである。アルジェリアの民間、国営企業と日本企業の交流を進めることができる。次回合同経済委員会が両国の経済関係のさらなる飛躍の一歩になることを疑わない。

政治家は往々にして大言するが、民間企業は言葉より数字で判断する。この機会にアルジェリアの経済情勢について数字で説明する。2001年以来、経済成長率は5〜6%で推移している。炭化水素分野以外でさらに大きな経済成長が見られる。公共投資プログラムによってインフレ率も少々上昇しており、ここ数年は2〜3%を記録している。公共分野も大幅な黒字である。外貨建ての国公債の残高は10億ドル程度で、外貨準備高は約1300億ドルである。国債の発行はGDPの10%以下に抑制している。アルジェリアはどのようなマクロ経済政策をとろうとしているのか。まず経済モデルを改革した。以前からアルジェリア経済に関わっている方はご存知のとおり、アルジェリアは計画経済であったが、1980年代末に市場経済に移行した。困難があるからこそ却って変化を遂げることができた。IMFの構造調整では大きな改革を断行できた。EUとの協力協定に合意し、現在はWTO加盟に向けて行動しており、アルジェリアの投資枠組みは普遍的なものになってきている。民営化政策は全ての産業セクターにわたる。もちろんソナトラックの民営化は考えていないが、鉱物資源の49%までは民間に開放している。市場経済へ移行する中、国家は大きな努力をしている。ブーテフリカ大統領が主導し、アルジェリアは総額2000億ドルの大型投資プロジェクトを発表した。今後さらに拡大する計画である。炭化水素分野の収入が増加し、計画を容易に推進できる。アルジェリアが取り組まなければならない課題は多く、まずはインフラ整備に注力したい。特に北部の東西高速道路に日本企業連合が参画しており、満足しているしありがたく思っている。他にも学校や住宅、病院などの社会インフラ整備に投資している。こうした公共投資に加えて民間投資も拡大している。もちろんソナトラックが最優先であり、投資規模は250億ドルにのぼる。石油化学分野も有望であり日本企業の協力を得ている。ガス、電力を司るソネルガスの投資規模はソナトラックに次ぐ150億ドルである。

最後に3点話したい。第1にアルジェリアは外からの大きな支配から脱した。外国企業が投資する際に国内で資金を調達することが可能である。日本の銀行に是非アルジェリアに進出してほしい。すでに17の外国銀行がアルジェリアで活動している。第2に日本企業には引き続き、多くの投資をアルジェリアに行ってほしい。歴史的に見ると現在のアルジェリアは日本の明治初期に当たると思う。アルジェリアは植民地主義のために世界地図から150年間消滅していた。独立後50年で発展したが過ちも犯した。アルジェリアは将来を見据えている。現在アルジェリア経済は好調だが、国家収入の96%を炭化水素分野に依存している。炭化水素は永遠ではない。現在の石油の可採年数は40年、天然ガスは80年であると言われている。今朝、福田総理大臣の話を聞いて、様々な考えをめぐらせた。日本という大国は、遠くを見て環境問題を重視している。現在それは悲劇にまでは至っていないが、将来にとって大きな危惧である。大国が大国たる所以は常に将来を見据えていることであると感じた。だからこそアルジェリアも炭化水素分野の自由化への戦いを繰り広げて勝利した。かつて石油はアルジェリアにとって躓きの元であった。石油が存在するがゆえに誰も働かなかったが、今日では石油を自らの強みにしようとしている。アルジェリア経済を独占的な地位を占める石油から脱出させようと試みており、それは市場経済の中では投資によってのみ可能である。例えばアルジェリアは現在年間22万台の自動車を輸入しているが、未来永劫外国から購入し続ける気はない。まずは組み立て施設を整備し、将来的には本格的に生産したい。食料も年間50億ドル輸入しているが、農業分野の貿易収支を均衡させたい。

アルジェリア人は日本人の愛国心を賞賛している。今回の訪日で経済的な愛国心とはどういうものかわかった。アルジェリア人の自国への愛国心が経済の中で発揮されることを良く理解していただけると思う。日本企業がアルジェリア経済の再建のために尽力してくれたことを心から感謝する。アルジェリアは現在進めている様々な事業を通じて、日本企業に対して博愛的な呼びかけをしたい。対アルジェリア投資により深い興味と関心を持つようお願いしたい。アルジェリアはあらゆる産業を開放している。日本は勝利するだけの十分な要件を持っている。

第3に日本はアルジェリアに熱い視線を向けている。アルジェリアはアフリカの扉に位置する。日本は欧州とも大きな関係を有する。アルジェリアに投資することは国内の4000万人の消費者にアプローチするとともに欧州市場にもアクセスできる。アルジェリアはEUとFTAについて協議しており、2015年に完全合意する予定である。日本とWIN−WINの関係を構築できる分野に皆さんをお招きしたい。そのためにあらゆる手段を講じたい。50年前から続く両国の友好関係も1つのカードであるし、日本企業のアルジェリアにおける経験や知識もその1つである。新興国アルジェリアの明るい展望も然りである。アルジェリアは世界経済の中ではまだ小さな存在であるが、今後のリーダー足りうる経済の潜在力を有する。

本日こうして歓迎してもらい、改めて感謝したい。私のメッセージが日本企業の関心を引くことを心から望んでいる。