渡辺伸前駐アルジェリア大使、日本・アルジェリア・センター代表が、去る３月２５日、逝去されました。渡辺伸大使は、駐アルジェリア日本大使として４年９ヵ月の任務を終え2001年４月に帰国され、翌5月には外務省を退職されました。帰国されるや否や、日本とアルジェリアとの友好の輪を広げるために、アルジェリア革命39周年記念日に当る、2001年７月５日、ＨＰを媒体とする日本・アルジェリア・センターを立ち上げられました。センターのニュースは１年間で５号を数え、
日本国内だけではなくアルジェリアからも数多くのメールが寄せられています。
渡辺伸大使がアルジェリアに赴任されていた期間は、アルジェリアが独立後最大の危機を迎えた時期であり、渡辺伸大使はアルジェリアで体験された貴重な経験をもとに、堪能なアラビア語とフランス語を駆使して膨大な資料を収集し、さらに現地の政治家、学者、研究者、ジャーナリストとの真摯な対話、証言をまとめ、「アルジェリア危機の10年：その終焉と評価」（文芸社）を本年１月上梓されました。同書は、1988年10月に発生した食糧暴動から1999年４月に選出された文民大統領ブーテフリカの誕生までの10年間の政治変動のプロセスを克明に分析した労作であり、アルジェリアを理解する上で必読の文献でもあります。
３月８日には、ベンジャマ駐日アルジェリア大使を発起人代表とする出版記念会がアルジェリア大使館で開催され、約150名の友人が参加して出版を祝いました。それから17日後、急逝されました。
渡辺伸大使はアルジェリア赴任中の1999年５月、難病で入院されましたが、手術後の回復は目覚しく、大使の急逝を予想する人は誰一人いませんでした。
エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦等を経てアルジェリアに赴任された大使は、アルジェリアを深く愛され、日本とアルジェリアとの友好の絆を深めるために寸暇を惜しんで献身的な努力を傾注されました。
ここに故渡辺伸大使のご冥福を心よりお祈り申しあげ、心より哀悼の意を表します。
日本・アルジェリア・センターを媒介として賜りましたご支援、ご厚誼に心よりお礼申しあげます。