鬼塚 由美(おにづか ゆみ)
先日、主人と我が家の近くにあるレストランで久しぶりにクスクス(couscous)を食べてきました。主人は月に2〜3度アルジェリアに出張しているのですが現地では食べてきません。ここはアルジェリア人の経営で、大きな器にゴロゴロと入った野菜とスープ、サラサラのスム―ルはアルジェリアのレストランで食べるより美味しいと思います。でも、羊肉はやはりアルジェリアの方が美味しいですね。一度だけここのレストランより美味しいアルジェリア料理を食べたことがあります。それは、あるアルジェリア人の自宅に招待され時に、奥様が作ってくれたクスクスとショルバです。以来、その味に勝るクスクスには出会っていません。やはりクスクスは家庭料理で食べるが一番なのですね。
筆者(右端)と、その友人家族(筆者提供)
私が初めてアルジェリアに行ったのは確か2001年だったと思います。まだ空港が新しくなる前でこれが国際航空?と驚いたものでした。その後、何度かアルジェリアに行っていますが、ここ数年は足が遠のいています。アルジェリアに行くと必ずアインべニアの港にある魚のレストランに行きます。このレストランは船を持っているので、その日に捕れた魚が陳列されていて、客がその中から好きな魚を選び料理してもらいます。焼き魚やフライを頼んだ時は、こっそり持って行った(お店の人は知っていると思いますが)醤油をかけて。なかでも私の一番のお気に入りはエビの辛味ソース炒めです。大きなお皿にドーンと盛られ、手で殻をむいて、ソースまみれの指をなめながら食べます。懐かしく思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。
アインベニアの港(筆者提供)
懐かしいものをもう一つ。松茸です。アルジェリア産の松茸。時期になると出張に行った主人が手に入れて持って帰ってきます。お友達におすそ分けすると、パリで松茸を食べれるなんて、と喜んでもらえます。我が家では松茸ごはん、網焼き、バター炒め、天ぷら等々を毎日食べ、もう食べ飽きたかな…なんて、日本の皆様にお叱りを受けそうですね。
それから残念ながら未だに食することが出来ないでいるものもあります。初めてアルジェリアに行ったときの事です。ある日、外出からホテルへの帰り道、運転手に“マダム、シュンギク、シュンギク”と言われ、???になっている私に彼は窓の外を指差しました。“春菊”が道路脇に咲いていたのです。彼はかつての駐在員の奥様が春菊を摘んで料理に使っていたのを覚えていて、私にも摘んだらどうか、と薦めてくれたのです。ホテルに滞在していたので摘んでもしかたなかったのですが、なぜか春菊を摘みたくなり、主人と二人で春菊を摘み、某企業の日本人コックさんに差し上げました。是非もう一度、春菊が咲く季節にアルジェリアに行かないとダメですね。ちなみに春菊の原産地は地中海沿岸だそうです。ただ食用とされるのは東アジアのみだとの話です。
筆者プロフィール: 日本ではファッション業界でプロのパターンナーとして活 躍するも、結婚に伴い1994年からパリ在住。総合商社勤 務のご主人の出張に時折同行して現地の土を踏むうち に、すっかりアルジェリア・ファンに。多い時には半年に 1回足を運んでいたという。毎回ホテル滞在だったにも 拘わらず、最長滞在記録は、なんと2カ月! |