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アブデルカデル・セマリ 
アルジェリア日本友好議員連盟会長の来日

去る9月19日から28日まで外務省のオピニオンリーダー招聘プログラムの一環としてアブデルカデル・セマリ(Dr. Abdelkader SEMMARI)氏が来日した。

セマリ氏はセティフ県出身の国民議会議員(平和の為の社会運動-ハマス-MSP党)で2004年12月よりアルジェリア日本友好議員連盟会長を務めている。

来日中は河野洋平衆議院議長、村田吉隆日本アルジェリア友好議連事務局長、森喜朗日・AU友好議連会長をはじめ、柿沢弘治日本アルジェリア友好協会会長、外務省、JICA、JBIC幹部と懇談、また、経団連では日本アルジェリア経済委員会で講演を行った。その様子は以下のとおり。

また、トヨタ元町工場、神戸「人と防災未来センター」、広島平和記念資料館、日本未来科学館、筑波大学北アフリカ研究センターなども視察し、FLN極東事務所跡地も訪れた。

「セマリ アルジェリア日本友好議員連盟会長との懇談会」

9月21日
柿沢弘治日本アルジェリア友好協会会長主催の昼食会にて
(左から3人目がセマリ会長)

去る9月27日、経団連会館にて、アブデルカデル・セマリ アルジェリア日本友好議員連盟会長との懇談会が行われた。

アルジェリアは、長期に渡り国内を混乱に陥れていたテロリズムも下火となり、ブーテフリカ大統領の力強いリーダーシップの下で、豊富な石油・天然ガス資源を背景に、安定した経済発展の軌道に乗りつつある。

ブーテフリカ大統領は、昨年12月に訪日された。アルジェリア大統領としては初の2国間公式訪問という形での来日であり、これを機に、日本―アルジェリアの友好関係の一層の強化を目的として、議員連盟が発足したのである。

懇談会には、日本側からは日本アルジェリア経済委員会の企業を中心に、30名余が出席した。重久委員長(日揮会長兼CEO)によるウェルカム・スピーチに続き、セマリ会長にご講演いただいた。概要は以下の通りである。

○アルジェリアは、民主政治体制と市場経済の導入によって大きな飛躍を遂げている。さまざまな改革は、痛みを伴うものであった。だが、9月にはEUとの自由貿易協定が実施され、また、WTOへの加盟も現在交渉中であるなど、国際的にも市場経済への適応が進みつつある。サービス部門を中心に課題は残されているが、政府は経済成長強化に尽力している。

○国内は安定を取り戻し、国外からの直接投資に対する受け入れ態勢が整いつつある。「整備されたインフラ」、「レベルが高く、かつ安価な労働力」、「豊富なエネルギー資源」、「優遇税制」、「市場の秘める成長性」など、魅力的な要素が十分にある。

○2004年度の貿易収支は200億ドルの黒字(輸出:420億、輸入:200億)であり、収入源の96%をハイドロカーボン分野が占めている。マクロ経済については、経済成長率は5.2%GDPも16%伸び850億ドルに達した。内債も順調に減少しており、外貨準備高は年末には約570億ドルと過去最高になる見込みである。

○政府は経済成長支援として、5ヵ年で550億ドルの予算を組んでいる。主な強化対象としては、「公共土木事業」「水資源開発」「港湾インフラ整備」「住居問題解消」「環境対策」「自動車産業振興」などが挙げられる。

セマリ会長は、「本日、日本とアルジェリアの交流の展望について皆さんとともに考える機会に恵まれたこと、また、昨年の大統領来日の際にも大変お世話になったことを、重ねて感謝したい。」との言葉で講演を締めくくられた。

引き続いての懇談では、活発な質疑応答が行われた。「優遇税制」や「治安」、「原油価格の見通し」などのほか、特に、近年、急速にアルジェリアとの距離を縮めている、EUと米国の動向が注目された。セマリ会長によれば、EU企業、米国企業ともに、様々な分野で「躊躇なく」進出してきており、「日本企業の出遅れを懸念している」とのことであった。

また、懇談の後には4年間の任期を終えられ、本国へ帰国されるアマール・ベンジャマ駐日アルジェリア大使よりご挨拶いただいた。大使は、アルジェリア国内の政治的安定、治安の改善、テロの減少、順調な経済発展などに触れられ、「これは政府の指導力の賜物である」と強調された。また、「今後の発展のためにも、より一層の両国関係の深化を図るべく、来年度中の日本アルジェリア合同経済委員会の開催を願う」と訴えられた。

1962年の独立以降も、アルジェリアの歴史は苦難に満ちたものであった。特に、テロが吹き荒れた’90年代は混迷を極めた時代といえよう。しかし、「危機の10年」を脱したアルジェリアは、今、着実に新たな歩を進めている。

セマリ会長、ベンジャマ大使の言葉は、ともに力強さに溢れていた。自国の経済成長という命題に掛ける、並々ならぬ熱意と、アフリカ諸国の旗手たらんとする、高い誇り故であろう。 遥か東京の地で、祖国の発展のために熱弁をふるう姿は、我々が忘れかけてしまったものを思い起こさせる。「成長への渇望」ともいうべき、それは、経済成熟期に達した日本においては、過去のものとなりつつあるように思われる。だが、戦争の惨禍からの復興という、かつて我々が辿った道を一丸となり踏み出したアルジェリア国民の思いには、応えなければならない。このような国家においてこそ、戦後、我が国が培ってきた、さまざまな経験を活かす場が、数多く残されているのではないか。

奇しくも、同じく「果て」と称される両国だが、「地の果て」の国の力強い躍動の響きは、「東の果て」国、日本にも確かに届いている。

アルジェリア日本友好議員連盟会長
アブデルカデル・セマリ会長
1959年6月4日、アイン・ウィルマン(セティフ県)生まれ
セティフ大学物理・電気化学科卒業
グルノーブル大学物理化学博士課程卒業 (ミサイル、宇宙ロケット搭載バッテリー研究)
セティフ大学工学科研究所教授
専門用語アラビア語訳委員長
アルジェリア科学協会会員
1991年「平和のための社会運動」(ハマス創立メンバー、現代表顧問)
1997年国民議会議員に選出、国民議会副議長(外交担当)
2001年中小企業大臣
2002年国民議会議員に再選
2004年アルジェリア日本友好議員連盟会長に就任