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アルジェリア情勢 近況

2001年6月20日
伊藤忠商事アルジェ事務所長
山口 哲朗

1.政局

 1999年4月の大統領選で選出されたブーテフリカ大統領は、平和の復活をトップ・プライオリティとし、「国民和解法」を7月公布、9月に国民投票を実施し、圧倒的多数で国民の支持を得た。和解法に定めるテロリストの自首期限である2000年1月13日を前に、AISと最終解散合意(約2800人が自首)。その後もこの国民和解での平和樹立の政策を継続している。

 外交面では99年7月のOAU首脳会議の成功を皮切りに、アフリカ・地中海・アラブの三極における第三世界のリーダーとしての位置付けのため精力的な活動を進め、完全にアルジェリア国の国際社会復帰を果たした。

 対米関係では、昨年12月 国務長官が訪アするなど米国の支援も得る結果となっている。 対仏関係では昨年6月に大統領が訪仏、債務問題・投資拡大などにつき前向きな協議が行われ、更なる二国関係正常化に向けた政治的意義のある訪問となった。 対日関係ではユスフィ外相が昨年5月28日 外相として始めて訪日、7月20日には大統領が沖縄サミット前のG8−途上国間債務問題会議出席のため訪日、9月の国連でのミレニアム・サミットの機会にアフリカ2首脳と共に森首相と面談。 また9月には外務省荒木統括政務次官、本年1月7日には 森首相親書を携えた町村文部大臣が訪アした。 

 内政面では、99年12月に新内閣を誕生させ内政ヘの基盤を築くと共に、新経済政策を昨年2月に発表、新しい市場経済改革ヘの意向を表明。 昨年8月には側近のベンフリス氏を首相に起用、行政・司法・教育改革や 国内インフラ強化を含め今後も引き続き内政にも注力してゆく方針。 そのため大統領は本年4月雇用創出や国民生活向上を眼目とする中期経済活性化計画を発表した。 また5月31日には 同計画の推進に向け一部内閣改造を実施した。 一方4月下旬、カビール地方で青年の反政府騒動が勃発した。

2.治安

 新大統領誕生以降の大きな流れとして、都市部でのテロが大幅に減少し、テロの活動範囲がアルジェ隣接県の山岳地帯に限定されてきた。 99年にはGIAは国民和解への動きに反発し、夏及びラマダン期間中にテロを激化させ犠牲者の増加が見られたが、12月に入りテロリストの自首の動きも広がった。 2000年に入りテロ犠牲者数は約100人/月で推移したが、7月、10月及び11月末からのラマダン期間中にテロが激化した。 2001年も約100人/月で推移している。 政府としては今後も山岳部で抵抗を続けるテロリストの掃討作戦と共に、国民和解を推進してゆく方針だが、国民の中にはその長期化に対する不安が見られるようになってきている。 南部の石油・ガス開発地区については従来より治安問題は発生していない。

3.経済

 経済のキーファクターである油価については、99年3月のOPEC会議での減産措置遵守により、上昇基調に向かい、99年の平均油価は18.10ドル/BBL、 2000年は28.80ドル/BBLと上昇。 これに伴い外貨準備高も昨年末には100億ドルを超えた。 

 政府は新しい市場経済(グローバライゼーション)ヘの移行に向けた改革推進を基本政策とし、銀行改革、エネルギー/鉱業分野の投資促進や公団資本解放、インフラ分野の段階的民営化方針などを打出すと共に、対外借入政策(国家保証の制限など)や債務構造の見直しの方針も表明。

 また本年4月には中期経済活性化計画を発表(3年間に5,250億DA及び40億ドルを資本投資や公団再建策に投入)。 対外関係では昨年2月の新経済政策発表以降、政府の方針確認のため各国よりミッションが相次いでおり、11月25日には7年ぶりに日本企業ミッションが訪アし経済合同会議が開催された。 また本年6月の第34回アルジェ国際見本市は前年を上回る32カ国・約1,000社が参加した。 欧州航空会社の就航再開に就いてはアリタリアが再開済みだが、AFの就航再開に就いては目途が立っておらず、今後も動きを注視する必要がある。

ティパーザ近郊Corne d'Or 賑わうビーチ 2000年8月